買収されたゲームスタジオの3社に1社が閉鎖、303社追跡の分析で判明
2000年以降に大手企業に買収されたゲームスタジオのうち、約3社に1社がすでに閉鎖されていたとする分析が公表されました。GamesIndustry.bizが11月5日に報じたもので、閉鎖例の半数は買収から5年以内でした。任天堂が買収した6スタジオは1社も閉鎖されていない一方、Activision Blizzardは全件が衰退か閉鎖に終わるなど、買い手による差が際立っています。
この記事のポイント
- 2000年以降に買収されたPC・コンソール向け303スタジオの約3分の1が完全に閉鎖された
- 閉鎖されたスタジオの半数は、買収から5年以内に閉じられていた
- 買収後に作品の質が落ちたか閉鎖されたスタジオは全体の60.8%に上る
- 任天堂は24年間で6スタジオを買収し、閉鎖は1社もない
- 買収スタジオの閉鎖は2019〜2022年の1件から、2023年以降は33件に急増した
基本情報
- 分析者
- Sebastian Cardoso氏(Riot、Crytek、EAでの勤務経験あり)
- 掲載先
- ニュースレター「Game Studio Unlocked」(データセットも公開)
- 対象
- 過去25年間に買収されたPC・コンソール向けの303スタジオ
- 調査期間
- 約3か月
- 閉鎖率
- 約3社に1社(うち半数は買収後5年以内)
- 衰退・閉鎖
- 60.8%(吸収・サポート業務移行を除くと51.6%)
- 報道日
- 2026年11月5日(GamesIndustry.biz)
303スタジオを追跡した買収後の閉鎖率分析の中身
GamesIndustry.bizによると、分析を行ったのはRiot Games、Crytek、EAで働いた経験を持つSebastian Cardoso氏です。同氏は約3か月をかけ、過去25年間に大手企業へ買収されたPC・コンソール向けの303スタジオの行方を追いました。結果は自身のニュースレター「Game Studio Unlocked」で今週公開され、元データも併せて公表されています。
分析では、買収されたスタジオの約3分の1が完全に閉鎖されていました。その半数は買収から5年以内に閉じられています。さらに、作品の質が落ちたか閉鎖に至ったスタジオは60.8%に達しました。以前と同等以上の作品を出しつつ、組織としても無傷で残ったのは4社に1社程度にとどまります。
ただし、この数字にはCardoso氏独自の基準が反映されています。親会社への吸収やサポート業務(他作品の開発支援など)への転換は、作品の評価が保たれていても「衰退」と数えています。これらを除くと、衰退・閉鎖の割合は51.6%に下がると同氏は説明しています。
任天堂は閉鎖ゼロ、Activision Blizzardは全件衰退
分析で最も大きな要因とされたのは、どの企業が買ったかです。Activision Blizzardによる17件の保有期間は、すべてが衰退か閉鎖で終わりました。Disney、Midway、Thunderfulも全件が同じ結果で、EAは83%でした。
対照的に任天堂は、24年間で6スタジオを買収し、1社も閉鎖していません。KADOKAWA、Krafton、Sumo Groupも同様に問題のない記録を残しています。一方、Microsoftは63%、Sonyは58%、Tencentは50%、Embracerは43%の保有期間が衰退か閉鎖に終わりました。
Cardoso氏はこの差について、スタジオを「機械に供給するため」に買うのか、優れたスタジオを持ちたくて買うのかの違いだと分析しています。量産体制の歯車として取り込むか、スタジオの個性ごと抱えるかという買収姿勢の違いが、その後の明暗を分けているとの見方です。
2023年以降に急増した閉鎖と自社設立スタジオの苦戦
閉鎖のペースも近年急速に上がっています。分析対象のうち、2019〜2022年に閉鎖された買収スタジオは1社だけでした。しかし2023年以降は33社が閉じています。業界全体で人員削減やプロジェクト中止が相次いだ時期と重なります。
Cardoso氏は比較のため、著名な独立系スタジオ50社も2019年10月から2026年10月までの7年間追跡しました。閉鎖率は独立系が2%、買収スタジオが12.6%でした。ただし独立系の数字は1件の閉鎖に基づくもので、同氏も母数の小ささを注意点として挙げています。
大手企業が自ら設立したスタジオは、さらに厳しい結果でした。56社のうち87.5%が衰退か閉鎖に至り、閉鎖された34社のうち18社は1本もゲームを出していません。NetEaseは2020〜2023年に8スタジオを新設しましたが、そのすべてがすでに閉鎖されています。
開発者とプレイヤーにとっての意味と今後の注目点
買収はこれまで、スタジオに安定した資金をもたらす選択肢と受け止められることが多くありました。今回の分析は、少なくとも大手による買収が長期的な存続を保証するものではないことを数字で示した形です。スタジオを売却するかどうかを検討する経営者にとって、買い手の過去の実績を確かめる材料にもなりそうです。
プレイヤーにとっても、好きなスタジオが買収された際に、その後の行方を占う手がかりとなります。データセットが公開されているため、今後は他の研究者やメディアによる検証や追加分析が進む可能性があります。2023年以降に加速した閉鎖の流れが今後も続くのかどうかも、引き続き注目されます。
よくある質問
- Q.買収されたゲームスタジオはどのくらい閉鎖されている?
- A.Sebastian Cardoso氏の分析では、2000年以降に買収された303スタジオの約3分の1が完全に閉鎖され、その半数は買収から5年以内でした。
- Q.閉鎖されたスタジオが最も少ない企業はどこ?
- A.任天堂は24年間で6スタジオを買収し、1社も閉鎖していません。KADOKAWA、Krafton、Sumo Groupも同様に問題のない記録とされています。
- Q.MicrosoftやSonyの買収スタジオはどうなっている?
- A.保有期間のうち衰退か閉鎖に終わった割合は、Microsoftが63%、Sonyが58%でした。Tencentは50%、Embracerは43%です。
- Q.分析のデータはどこで見られる?
- A.Cardoso氏のニュースレター「Game Studio Unlocked」で、分析結果とともに全データセットが公開されています。


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